SMAコラム
サーファーも知っておきたいスポーツ選手のドーピングについて

違法ドラッグ、違法薬物使うのは論外。日常的に使用する市販薬などでもドーピング対象の禁止薬物となっていることがあることを知っておこう。

 オリンピック競技へサーフィンが含まれた2020年東京オリンピックを前にして、サーファーたちにとってもドーピングに対する関心と意識が高まってきています。
 NSA(日本サーフィン連盟)が主催するセミナーでも、SMAドクターである湯沢斉医師による「サーファーのためのドーピング教養」講義も何度か開催されています。
 ドーピング:禁止されている薬物を投与すること。もちろんニュースなどでも聞いたことある言葉だし、なんとなくはその意味も理解していますが、よく話題となるのがステロイドホルモンや成長ホルモンなど「筋肉増強剤」。だからなおさら、サーフィンにはあまり馴染みのない世界のようにも思えたりします。
 しかし、意外や意外、筋肉増強剤以外にも、多くの禁止されている薬物が存在し、それがもっと身近なものだというのです。しかも、ドーピングは、選手たちの公平性やフェアプレーという競技スポーツの精神に反する行為のため、競技スポーツでは厳しく禁止されており、薬物使用者は出場停止または失格となり、社会的信用を喪失させ、選手生命が断たれるとともに、スポーツ全体の価値を損なうことにもなります。ひとりのアスリートの過ちで、観客からの期待と信頼を裏切ることになりかねないのです。
 オリンピックに参加する、しないに関わらず、サーファーとして競技会に出場などをする場合にも、かかわってくる内容でもあります。この機会に少し、ドーピングについて知っておきましょう。

 禁止されている薬物。特別なもののように思えますが、さきほども述べた通り、実は、「禁止されているもの」が、日常的に使用されているものにも含まれているのです。ドーピングが意図的でなく、不注意であっても薬物使用者とされてしまうということ。それが恐いことなのです。  
 ドーピングについて、一般の我々が知っておくべき内容をまず、挙げておきましょう。

・昔と今では状況も異なり、将来もまた違う。血液検査、尿検査データは、少なくとも10年間は保管されているため、今大丈夫でも将来的に問題が出るというケースもあることを知っておこう。
・「うっかりドーピング」はナンセンス。以前は許されても、今の時代は、すべての責任は自分が負わされることを知っておこう。
・陥れられる可能性がドーピングにはあることを知っておこう。強制的にライバルから薬物を投与されることはないだろうが、間違った情報を信じてしまうことはあるわけで、注意しよう。
・風邪薬や漢方薬、サプリメントにも禁止薬物は含まれているので注意が必要。スポーツファーマシストに相談し、確認を取ろう。
・少なくとも年に1度、禁止薬物の内容は更新されていることを知っておこう。常に禁止されている物質、競技会の時だけ禁止される物質また、特定の競技において禁止されている物質などの分類がありますので、それぞれチェックしましょう。
・ドーピング検査には競技会検査と競技会外検査があり、トップアスリートは居場所情報を提出する義務のあるRTPに登録される場合もあります。


 うっかり飲んだ風邪薬や花粉症の薬、漢方薬、サプリメントにも禁止物質が入っていることを聞かされると、なんとも日常的な問題とも感じるはずです。ルルや新三協胃腸薬などの市販薬ですら、NGとなることもあるそうです。  かかわる選手たちは、ドーピングに対してもっと意識を持ち、病気時などに服用する薬に対してはより慎重になるべきかもしれません。市販薬は使わずに、専門の病院で処方してもらうのが一番いい方法です(薬を購入する際には、アンチ・ドーピングに関する専門知識を持つJADA公認の薬剤師、スポーツファーマシストに相談するといいでしょう)。
 一般的に服用されている「ユンケル皇帝液」など、漢方エキスが入っている薬なども注意した方がいいでしょう。また、治療のためにどうしても禁止物質を使用しなければならない場合は、TUE(治療使用特例)(※)をJADAなどのTUE委員会に申請し、承認を得る必要があります。

(※) 事前に所定の手続きによってTUE申請が認められれば、禁止物質や禁止方法を例外的に使用することが可能です。医療上の理由で禁止物質・禁止方法を使用する場合でも、TUE申請の承認なしに禁止物質・禁止方法を使用すれば「ドーピング防止規則違反」と判断されることがあります。TUEの申請にあたっては、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のウェブサイトを参照し各自対応を開始下さい。TUE申請をする場合は、JFDAアンチ・ドーピング委員会(anti-doping@jfda.or.jp)へもご連絡をお願いします。 ※医師に作成して頂いた申請書は、直接JADAに送付ください。

【アンチ・ドーピング機関について】
 アンチ・ドーピング活動は、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)を中心に、国際オリンピック委員会(IOC)、国際競技連盟、国内オリンピック委員会、各国政府などが協力し、ドーピング防止活動を推進しています。日本国内では、文部科学省指定の国内ドーピング防止機関である日本アンチ・ドーピング機構(JADA)がドーピング防止活動を統括し、教育啓発活動やドーピング検査等を実施しています。