SMAコラム
うっかりドーピングに言い訳は効かない

 競技力向上を目的とし、意識的に薬物を服用した選手が資格停止等の処分を課せられることは当然ながら、その一方で、風邪薬やビタミン剤などに禁止薬物が含まれていないことを知らずに服用して罰されるケースも増えています。 「まさかこんなものに禁止薬物が含まれていたなんて知らなかった」では通用しないということを選手は強く意識する必要があるのです。故意的でなくても「うっかりドーピング」は、言い訳は効かず、資格停止や過去の記録抹消といった重い罰を選手は課せられるということを知るべきです。
 では果たして、どのようなものに禁止薬物が含まれているのでしょうか?NSA(日本サーフィん連盟)公認ドクターであり、またSMAメンバーのドクターの湯沢医師が、NSA主催で開催された「ドーピング教養セミナー」で、そのあたりについて、話題とされていたので要点をまとめて紹介しておきます。

●育毛剤
問題ない。ただし、ミクロゲンパスタなどはメチルテストステロン(ホルモン剤)を含んでいるため、専門の医師や薬剤師に要相談。ヒゲに塗る、ステロイドホルモンなどはNG。実際に口ヒゲの生育促進を目的としてヒゲに塗り薬を塗っていた日本のラグビー選手も、競技力向上の目的で意図していないということでも、2年間の資格停止処分を受けている。

●のど飴
注意が必要。すべてののど飴が駄目というわけではないが、「メチルエフェドリン」「ヒゲナミン」を含んだ商品はNG。「南天のど飴」はよく知られているのど飴だが、成分である「南天」の実には、アルカロイドである「ヒゲナミン」が含まれている。「ヒゲナミン」は2017年1月より禁止物質とされているため、「南天のど飴」などの服用は避けたい。

●ビール
問題ない。アルコールの使用は、モータースポーツなどを除き、ドーピングリストからはずされている。

●プロテイン
注意が必要。日本製のプロテインは問題ないが、海外製のプロテインには禁止物質であるステロイドの「メチルテストステロン」が含まれているケースがあるので、注意が必要だ。

●サプリメント
注意が必要。製造や販売の規制が厳しくないこともあり、多くの禁止成分が含まれていることがあるので注意したい。「淡白同化薬」など禁止物質を含むサプリメントも世界では出回っている。表示されていない場合もあるので、インターネッとなどで注文する際には注意が必要だ。 (日本の大学生水泳選手が、ビタミン不足の解消のために、インターネットで海外性のサプリメントを購入し、それを服用。昨年9月に開催された日本学生選手権に出場し、レース後に行われたドーピング検査で、興奮作用のある禁止薬物「ジメチルブチルアミン」が検出されたことにより、7ヶ月の資格停止処分を受けている。製品のラベルには「ジメチルブチルアミン」禁止物質が含まれていることは表示されていなかったらしく、こうした海外からの製品は注意が必要である。)

●風邪薬
注意が必要。市販の風邪薬には、禁止薬物が含まれているケースが多い。大手製薬会社の製品であっても、「エフォドリン」「メチルエフェドリン」などのドーピング違反物質を含んでいることもある。市販している風邪薬は、なるべく服用しないようにしたい。どうしても服用しなければいけない場合には、アンチドーピングに詳しい薬剤師に相談して判断するようにしたい。

●栄養ドリンク
問題ない。日本のコンビニなどで販売されているものは基本的に大丈夫だが、大会前後での余計な服用は避けるべき。 ●漢方薬
注意が必要。漢方薬には明らかに禁止物質である麻黄(マオウ)、ホミカ(ストリキニーネを含む)などが含まれていることが多く、また、漢方薬は生薬を使用するため、商品名が同じでも、製造会社、原産地、収穫の時期などによって成分が異なることもあるため、服用には神経を使いたい。成分が全部記載されていない場合もあり内容成分の正確な把握ができないため、服用はやめておくことを薦める。