title

 肩関節は何本もの筋肉やじん帯でつながれており、あらゆる方向に動かすことができるために、使いすぎによる各種の障害が発生しやすいという構造的な問題を抱えている。腕を動かす動作は基本的には、肩周辺の三角筋、大胸筋、広背筋といった表層の筋肉が働くことになるが、パドリングのように肩をぐるぐると連続的に動かす動作では、内部の筋肉に生じる炎症や腫れがその原因となることが多い。
 構造的に不安定な肩関節は関節包や靭帯などの軟部組織やローテーター・カフと呼ばれる4つの筋肉(深層にある回旋筋群と呼ばれる筋肉群)によって保護されている。肩甲骨につながる菱形筋と呼ばれる筋肉の張りが原因で肩に痛みが生じるケースもあるが、大抵の場合はローテーター・カフの筋肉群にストレスが加わり、その状態を長く続けていくことで障害がジワジワと悪化していくことになる。
 「痛いな」と思ったころにはかなり障害が進行しているケースが多い。パドリング中に痛みを覚えたとしても、身体は知らず知らずのうちに微妙にフォームを変え、痛みを感じない肩の動きを行うことで肩の障害に気づかないというわけだ。  痛みを感じ始めたら、サーフィン後に必ず冷やし、十分休養をとることが鉄則。痛みが強くなるようならばサーフィンはしばらくあきらめ、ここで紹介するトレーニングでローテーター・カフを強化する努力をしよう。


※コラム:深層部の筋肉は軽めの負荷で鍛える
 ローテーター・カフの強化は普段の動作ではなかなか鍛えられないので、軽めのダンベル(1キロ程度)やチューブなどを利用した負荷を用い、正しいフォームで行うことが大切。回数も10回を1セットとし、最初は1セットから始めたい。慣れてきても2セット以上は行わないこと。また、サーフィンを終えて海からあがってきたら、肩のストレッチを日常的に行うようにしたい。


肩甲骨引き寄せ運動

 両腕を引いたり曲げたりして肩の後ろ側の筋肉をトレーニング。まずは両腕を前方に伸ばした状態から、肩甲骨を引き寄せるようにして両肘を後方へ引く。次に、その状態から肩を外旋(肘を支点に手を上方向へ持ち上げる)させ、数秒間維持。その後、ゆっくりと元の状態まで戻しこれらの一連の動作を数回繰り返そう。

肩甲骨引き寄せ運動イラスト

棘下筋、小円筋のエクササイズ

 軽めのダンベルを利用し横になって行う補強トレーニング。肘の角度が常に直角となるようにし、体側から上腕を離さないように注意しながらイラストのようにダンベルを持った手を天井方向へ持ち上げる。ダンベルを持ち上げようとすることに意識しすぎると体ごとねじれてしまうので気をつけよう。

棘下筋、小円筋のエクササイズイラスト

棘上筋のエクササイズ

 同じく軽めのダンベルを利用した補強トレーニング。親指が下、小指が上を向くような手の向きのまま、真横よりもやや斜め前方方向に両腕を持ち上げていく。腕を持ち上げる際は肘は伸ばしたまま。肩の高さまで持ち上げたら一旦静止し、ゆっくりと元の姿勢に戻る。肩の高さ以上にダンベルを持ち上げないように注意することだ。

棘上筋のエクササイズイラスト

タオルを使ったストレッチ

 タオルを肩幅よりやや広めに握ったまま、腕を前方から後方、後方から前方へとゆっくりと回転させるトレーニング。肩周辺の筋肉を柔らかくするには最適。肩の硬い人は、タオルを握る幅を広めにし、日常的に行うようにしたい。


タオルを使ったストレッチイラスト

肩のストレッチ

 肩をベンチの端から少し出すようにして仰向けになり、1kg程度の軽めのダンベルを片手に持ち、その重さを負荷に行う肩周辺の筋肉ストレッチ。肘を90度に曲げた状態、腕を横方向に伸ばした状態、腕を頭方向へ伸ばした状態と、3方向へのストレッチを行いたい。肩に不安のある人は、サーフィン後に必ずこれらのストレッチを実施したい。

肩のストレッチイラスト